長引く咳、高い熱、そして息苦しさ。これらの症状が重なった時、多くの人が「もしかして肺炎かもしれない」と不安になります。肺炎は、風邪と症状が似ているため初期には見過ごされがちですが、特に高齢者や持病のある方にとっては命に関わることもある重篤な感染症です。そのため、疑わしい症状があれば、迅速に適切な医療機関を受診することが何よりも重要です。では、肺炎が疑われる場合、一体何科を受診すればよいのでしょうか。結論から言うと、大人が肺炎を疑った場合にまず受診すべき診療科は「呼吸器内科」あるいは一般的な「内科」です。呼吸器内科は、その名の通り、肺や気管支といった呼吸器系の病気を専門的に診断・治療するエキスパートです。肺炎の診断に必要な胸部レントゲンやCTといった画像検査の読影、原因となっている細菌やウイルスを特定するための喀痰検査や血液検査、そして患者さんの状態に合わせた最適な抗菌薬の選択など、肺炎診療に関する深い知識と豊富な経験を持っています。特に、症状が重い場合や、持病があって重症化のリスクが高い方、あるいは一般的な治療で改善が見られない難治性の肺炎の場合は、呼吸器内科での専門的な治療が不可欠となります。もし、お住まいの地域に呼吸器内科がない場合や、夜間・休日などで専門外来が開いていない場合は、まずはかかりつけの「内科」を受診しましょう。内科医は、初期の肺炎の診断と治療を行うことができます。聴診や胸部レントゲン検査で肺炎を診断し、軽症から中等症であれば、内科クリニックで外来治療(飲み薬の処方)が可能です。そして、入院が必要なほど重症であると判断した場合には、速やかに呼吸器内科のある総合病院へ紹介してくれます。大切なのは、自己判断で「ただの風邪だろう」と様子を見続けないことです。息苦しさや38度以上の高熱が続く、黄色や緑色の濃い痰が出る、胸に痛みを感じるといった症状があれば、それは肺炎のサインかもしれません。迷わず、呼吸器内科または内科の扉を叩きましょう。