子供が突然高熱を出し、同時に「口の中が痛い」と訴えたり、食事や水分を摂るのを嫌がったりする時、親としては非常に心配になるものです。口の中を覗いてみると、赤いポツポツや水ぶくれ、白い潰瘍のような口内炎が多数できている。これは、子供によく見られるウイルス感染症の典型的なサインです。このような場合、どの診療科を受診し、家庭でどのようなケアをすればよいのでしょうか。まず、子供の口内炎と発熱で受診すべき診療科は、第一に「小児科」です。小児科医は、子供特有の感染症に精通しており、口内炎の見た目や分布、他の症状(手足の発疹の有無など)から、それがヘルパンギーナなのか、手足口病なのか、あるいはヘルペス性口内炎なのかを的確に診断することができます。必要に応じて、原因ウイルスを特定するための検査を行うこともあります。診断がつけば、それぞれの病気に合わせた対症療法(解熱剤や痛み止め、口内炎の塗り薬など)が処方されます。家庭でのケアで最も重要なことは、「脱水症状を防ぐ」ことです。口の中の激しい痛みのため、子供は飲み食いを一切拒否することがあります。しかし、高熱で汗をかいているため、体からはどんどん水分が失われていきます。脱水を防ぐためには、子供が受け入れやすい飲み物を、少量ずつ、こまめに与える工夫が必要です。麦茶やイオン飲料、牛乳、冷たいスープ、経口補水液などを、スプーンやストローを使って少しずつ飲ませてあげましょう。食事も無理強いは禁物です。オレンジジュースなどの酸っぱいものや、熱いもの、味の濃いものは、口内炎にしみて痛みを増強させます。プリンやゼリー、アイスクリーム、冷ましたおかゆ、豆腐など、のどごしが良く、刺激の少ないものを選んであげてください。また、口の中を清潔に保つことも大切ですが、歯磨きを嫌がる場合は無理にしなくても構いません。食後に水やお茶で口をゆすがせるだけでも効果があります。高熱が続いてぐったりしている、水分を全く受け付けず、おしっこの回数が極端に減った、といった場合は、脱水が進んでいる危険なサインです。ためらわずに、再度小児科を受診するか、夜間であれば救急外来に相談してください。