三十代半ば、二人の子育てに追われる毎日だった私に、異変が訪れたのはある冬の朝でした。両手の指がパンパンに腫れ上がり、まるで他人の手のようにこわばって、うまく曲げることができません。蛇口をひねるのも、子供の服のボタンを留めるのも一苦労でした。最初は「冷え性の悪化かな」「疲れがたまっているのだろう」と軽く考えていました。しかし、その症状は日を追うごとにひどくなり、手首や足の指の関節までズキズキと痛み始めました。近所の整形外科を受診すると、レントゲンを撮られ、「骨に異常はないですね。使いすぎでしょう。痛み止めと湿布を出しておきます」と言われました。しかし、薬を飲んでも症状は一向に改善せず、むしろ全身のだるさが加わり、微熱も続くようになりました。不安に駆られた私は、インターネットで「朝の手のこわばり」「関節の痛み」といったキーワードで検索を始めました。そこで何度も目にしたのが「関節リウマチ」という病名と、「専門はリウマチ科・膠原病内科」という情報でした。私の住む町には専門科がなかったため、少し足を延ばして、隣の市にある総合病院のリウマチ科を受診することにしました。初めて訪れたリウマチ科で、私の話を聞いた医師は、すぐに私の全身の関節を丁寧に診察し、「リウマチの可能性が高いですね。詳しい検査をしましょう」と言いました。血液検査と関節エコー検査の結果、診断はやはり「関節リウマチ」。抗CCP抗体という項目が非常に高い数値を示していました。診断が確定した時はショックでしたが、同時に、これまでの不調の原因がはっきりしたことに、どこか安堵する気持ちもありました。医師は、病気のこと、そして最新の治療法について、時間をかけて丁寧に説明してくれました。「今は良い薬がたくさんあるから、きちんと治療すれば、前の生活を取り戻せますよ」。その言葉が、私の不安を希望に変えてくれました。あの時、整形外科で満足せず、自分で調べて専門医の扉を叩いたこと。それが、私のその後の人生を大きく変える決断になったと、今、心から感じています。