「リウマチかもしれない」と不安を抱えて専門医を受診した際、どのようなプロセスで診断が下されるのでしょうか。関節リウマチの診断は、単一の検査だけで決まるものではなく、患者さんの訴え、医師の診察所見、そして血液検査や画像検査の結果をパズルのように組み合わせ、総合的に判断されます。そのプロセスを知ることは、患者さんの安心にも繋がります。まず、診察室で最初に行われるのが、詳細な「問診」です。いつから、どの関節が、どのように痛むのか。朝のこわばりの有無やその持続時間。他に体調の変化はないか、家族にリウマチの人はいないか、など、医師は診断の手がかりとなる情報を丹念に聞き取ります。この問診が、診断の方向性を決める上で非常に重要になります。次に、医師による「診察」です。医師は、患者さんの全身の関節を一つひとつ丁寧に触診し、腫れている関節(腫脹関節)と、押して痛む関節(圧痛関節)の数と場所を正確に数え上げます。関節の腫れが、骨の変形による硬いものか、リウマチ特有の滑膜炎によるブヨブヨしたものかを見極めるのも、専門医の重要なスキルです。続いて行われるのが「血液検査」です。リウマチの診断で特に重要視されるのが、「リウマトイド因子(RF)」と「抗CCP抗体」という二つの自己抗体です。特に抗CCP抗体は、リウマチに対する特異性が非常に高く、陽性であればリウマチである可能性が極めて高まります。また、炎症の程度を示す「CRP」や「赤沈(ESR)」といった項目も、病気の活動性を評価するために測定されます。さらに、関節の状態を視覚的に評価するために「画像検査」も行われます。レントゲン(X線)検査では、リウマチによる骨びらん(骨のびらん状の破壊)や関節の隙間の狭小化といった、病気の進行度を確認します。しかし、レントゲンで変化が現れるのはある程度病気が進んでからなので、近年では、より早期の炎症を発見できる「関節超音波(エコー)検査」が非常に重要な役割を果たしています。エコーを使えば、関節の中の滑膜の腫れや、異常な血流信号をリアルタイムで観察でき、診断や治療効果の判定に大きく貢献します。これらの情報を総合し、医師はリウマチの診断を確定し、最適な治療方針を立てていくのです。
リウマチの診断。専門医はどのように病気を見つけるのか