咳や熱といった症状は、風邪の時にもよく見られます。そのため、肺炎の初期症状を「こじらせた風邪」と自己判断してしまい、受診が遅れて重症化してしまうケースは少なくありません。しかし、肺炎には風邪とは異なる、いくつかの特徴的な「危険なサイン」が存在します。これらのサインを知っておくことが、病気の早期発見と適切なタイミングでの受診に繋がります。まず、最も重要な違いの一つが「呼吸の苦しさ(呼吸困難)」です。風邪でも鼻詰まりや咳で息苦しさを感じることはありますが、肺炎の場合は、肺そのものが炎症を起こしているため、「空気がうまく吸えない」「少し動いただけでも息が切れる」「肩で息をするようになる」といった、より深刻な呼吸困難が現れます。安静にしていても呼吸数が多くなる(1分間に25回以上が目安)場合は、特に注意が必要です。次に、「高熱の持続」です。風邪の熱は通常、数日で下がることが多いですが、肺炎の場合は38度以上の高熱が4日以上続くことがよくあります。市販の解熱剤を飲んでも一時的にしか下がらず、薬が切れると再び高熱が出る、といったことを繰り返します。また、「咳と痰の変化」も重要な指標です。風邪の咳が「コンコン」という乾いた咳から始まることが多いのに対し、肺炎では「ゴホゴホ」という湿った咳が多く見られます。そして、色のついた痰が出るのも特徴です。黄色や緑色、あるいは錆びたような色の膿性の痰が頻繁に出るようであれば、それは肺の中で細菌が繁殖しているサインです。さらに、「胸の痛み」を伴うこともあります。咳をした時や、深く息を吸った時に、胸にズキっとした痛みを感じる場合は、炎症が肺を覆う胸膜にまで及んでいる可能性があります。これらの症状、すなわち「息苦しさ」「持続する高熱」「色のついた痰」「胸の痛み」のうち、一つでも当てはまるものがあれば、それはもはや単なる風邪ではありません。速やかに呼吸器内科や内科を受診し、胸部レントゲン検査など、専門的な診断を受ける必要があります。
これは風邪じゃない?肺炎を見分けるための危険なサイン