足の甲に赤いポツポツや水ぶくれができた時、特に夏場であれば多くの人がまず手足口病を疑うでしょう。確かに手足口病の可能性は高いですが、足の甲に発疹が現れる病気は他にもいくつか存在します。正確な診断は医師に委ねるべきですが、鑑別のポイントとなる特徴を知っておくことは、過度な不安を解消し、適切な受診行動に繋がります。まず、手足口病と症状が似ているウイルス性疾患として「ヘルパンギーナ」があります。これも同じエンテロウイルス属が原因の夏風邪ですが、主な症状は高熱と喉の奥にできる水疱(口内炎)です。通常、手足に発疹は出ませんが、原因ウイルスの型によっては稀に手足にも発疹を伴うことがあり、手足口病との区別が難しい場合があります。次に、水ぶくれができる病気として「水疱瘡(みずぼうそう)」があります。水疱瘡の発疹は、赤い斑点から始まり、水疱、膿疱(膿を持つ)、かさぶたへと時間と共に変化していくのが特徴です。また、手足口病の発疹が手のひらや足の裏に多いのに対し、水疱瘡は頭皮や顔、体幹といった体の中心部から全身に広がっていきます。強いかゆみを伴うのも特徴の一つです。細菌感染によって起こる「とびひ(伝染性膿痂疹)」も、水ぶくれを作ります。とびひの水疱は薄くて破れやすく、中の液体が周囲に広がって次々と新しい水疱ができていくのが特徴です。虫刺されやあせもを掻き壊した傷から始まることが多く、特定の部位に集中して見られます。その他にも、アレルギー反応による「接触皮膚炎(かぶれ)」や、汗が原因の「あせも(汗疹)」、高温多湿の環境で起こりやすい「汗疱(かんぽう)」なども、足の甲に発疹や水ぶくれを作ることがあります。これらの病気を見分けるためには、発疹の見た目や分布だけでなく、熱や口の中の症状の有無、かゆみの強さなどを総合的に見ることが重要です。しかし、最終的な判断は専門医でなければ困難です。自己判断せず、小児科や皮膚科を受診しましょう。
これは手足口病?足の甲の発疹で考えられる他の病気