手足口病は、その名の通り、手のひら、足の裏、そして口の中に特徴的な水疱性の発疹が現れる夏風邪の一種です。しかし、この病気の発疹は、必ずしもその三つの部位だけに限定されるわけではありません。特に見落とされがちでありながら、診断の重要な手がかりとなるのが「足の甲」に現れる発疹です。多くの場合、保護者の方は手のひらや口の中の変化に最初に気づきますが、靴下や靴で隠れている足の甲にも、同じように発疹が出ているケースは非常に多く見られます。足の甲に現れる発疹は、初期には数ミリ程度の小さな赤い斑点として始まります。それが次第に中心部が少し盛り上がった水疱へと変化していきます。水疱瘡の水疱のように大きくパンパンに膨らむことは少なく、米粒大ほどの少し硬い感じの水疱であることが特徴です。この発疹は、足の甲全体に散らばることもあれば、足の指の付け根あたりに集中することもあります。さらに、足の裏や側面、かかと、足首の周りにまで広がることも珍しくありません。なぜ足の甲にも発疹が出るのでしょうか。手足口病の原因となるエンテロウイルス属のウイルスは、血流に乗って全身を巡ります。そして、ウイルスの種類や感染した人の体質によって、特定の皮膚領域に炎症反応を起こしやすい性質があります。手のひらや足の裏といった、皮膚が厚く刺激を受けやすい場所が典型的な好発部位ですが、同様に外部からの刺激を受けやすい足の甲も、ウイルスにとって格好の活動場所となるのです。特に、歩行時の靴との摩擦などが、症状を顕在化させる一因とも考えられています。したがって、子供が熱を出したり、口の中を痛がったりして機嫌が悪い時には、手のひらと口の中だけでなく、必ず靴下を脱がせて足の甲や足の裏までくまなく観察することが、手足口病の早期発見に繋がる重要なポイントと言えるのです。