夏の季節、急な吐き気や胃の不快感に襲われた時、その原因が「熱中症」なのか、それとも「食中毒」なのか、判断に迷うことがあります。どちらも夏場に多く発生し、吐き気や嘔吐といった共通の症状があるため、混同されやすいのです。しかし、両者は原因も対処法も異なるため、見分けるためのポイントを知っておくことが重要です。見分けるための最も大きな手がかりは、「症状が現れた状況」と「随伴症状」です。まず、熱中症による吐き気は、高温多湿の環境に長時間いた後や、激しい運動をした後など、体に熱がこもるような状況で発生します。そして、吐き気以外にも、めまい、立ちくらみ、大量の汗、顔のほてり、頭痛、全身の倦怠感といった、熱中症特有の他の症状を伴うことがほとんどです。特に、意識が朦朧としたり、受け答えがおかしくなったりする意識障害が見られる場合は、熱中症の可能性が極めて高いと言えます。一方、食中毒による吐き気は、原因となる細菌やウイルスが付着した食品を食べてから、数時間から数日後に発症します。高温多湿の環境とは直接関係なく、涼しい室内で過ごしていても起こり得ます。そして、食中毒の大きな特徴は、「下痢」や「腹痛」といった消化器症状を強く伴うことです。特に、水のような下痢や、しぶるような腹痛は、食中毒を強く疑わせるサインです。また、自分だけでなく、同じものを食べた家族や友人も、同じような症状を訴えている場合は、食中毒の可能性がさらに高まります。発熱はどちらの病気でも見られることがありますが、食中毒では悪寒や震えを伴うこともあります。まとめると、以下のようになります。熱中症を疑う: 高温環境下での活動後。めまい、頭痛、倦怠感、大量の汗などを伴う。下痢はあまり見られない。食中毒を疑う: 原因となりそうな食事に心当たりがある。激しい下痢や腹痛を伴う。一緒に食事をした人にも同様の症状がある。もちろん、これはあくまで一般的な目安であり、判断が難しい場合も少なくありません。いずれにせよ、吐き気が強く、水分が摂れない状態であれば、自己判断せずに内科や消化器内科、救急外来を受診することが最も安全な選択です。