突発性発疹の原因ウイルスであるヒトヘルペスウイルス六型および七型は、ほぼすべての人が乳幼児期に感染するものですが、実はすべての子供が典型的な「高熱と発疹」を経験するわけではありません。医学的には、感染しても目立った症状が現れない、あるいは非常に軽微な症状で終わる「不顕性感染」という状態が存在します。これを知っておくことは、自分の子の発疹が少なかったり、あるいは熱だけで発疹が出なかったりした際の理解を深める助けとなります。不顕性感染、あるいはそれに近い軽症のケースでは、熱がそれほど高くならなかったり、微熱程度で済んだりすることがあります。そのような場合、熱が下がった後の発疹も極めて薄く、数も少なくなる傾向があります。親からすれば「ただの知恵熱かな」と思っている間に、実は突発性発疹としての免疫を獲得しているのです。発疹が少ない、あるいは見当たらないという事例を分析すると、ウイルスの型による違いも指摘されます。ヒトヘルペスウイルス六型による初感染は比較的症状が強く出やすく、一方で後から感染することの多い七型は、症状がマイルドで発疹も控えめになることが多いという傾向があります。したがって、人生で二回突発性発疹にかかる子がいるのはこのためですが、二回目は一回目よりも発疹が少なくて気づきにくい、ということがよく起こります。また、赤ちゃんの体質も無視できません。皮膚がもともと薄い子や、逆にしっかりとした質感の子では、炎症の現れ方が異なります。発疹が少ないからといって、体の中でウイルスとの戦いが行われなかったわけではなく、むしろ非常に効率的に免疫系が対処した結果、皮膚への影響が最小限に抑えられたという解釈も成り立ちます。さらに、発疹が少ないことが、他の発疹性疾患、例えば風疹や麻疹、あるいはアレルギー反応との誤診を防ぐための重要な鑑別点になることもあります。突発性発疹の発疹は痒みを伴わず、カサブタになることもありません。まばらに出た発疹がそのまま自然に引いていくのであれば、それはまさに突発性発疹の穏やかな現れ方であったと言えるでしょう。大切なのは、発疹の派手さではなく、お子さんの体の中にしっかりと免疫の記憶が刻まれたという事実です。診断名という枠組みにこだわりすぎず、不顕性感染というバリエーションも含めた広い意味での「成長の通過点」として、お子さんの体調の変化を受け止めてあげることが、親としての心の平穏に繋がるはずです。
典型的な症状が出ない不顕性感染としての突発性発疹の可能性