一歳になったばかりの娘が突然三十九度の熱を出したとき、私は直感的にこれが噂に聞く突発性発疹だと確信しました。それまで一度も大きな病気をしたことがなかった娘にとって、初めての試練でした。三日間、熱は上がったり下がったりを繰り返し、四日目の朝にようやく平熱まで戻りました。私は「さあ、これから全身に赤い発疹が出るはずだ」と身構え、娘の服を脱がせて肌の状態を何度もチェックしました。ところが、お昼を過ぎても夕方になっても、娘の肌は多少カサついている程度で、目立った変化は見られませんでした。翌朝、ようやくお腹のあたりに三、四箇所、蚊に刺されたような薄いピンク色の斑点を見つけましたが、それも目を凝らさないと分からないほど微かなものでした。背中や顔には全く出ておらず、育児ブログなどで見ていた「真っ赤に腫れ上がるような発疹」とは程遠い状態でした。私は、発疹がこんなに少なくて本当に病気が終わったと言えるのか、あるいは別の病気でただ熱が下がっただけなのかと、逆に心配になってしまいました。数日後の定期検診で小児科の先生にそのことを相談すると、先生は笑って「発疹の出方は本当に人それぞれなんですよ。熱が下がった後に不機嫌になりませんでしたか」と尋ねられました。確かに、熱が引いてからの娘は、抱っこしていないと泣き叫ぶほどの不機嫌さで、夜泣きもひどくなっていました。先生は「それが何よりの証拠です。発疹が少ないからといって、免疫がつかないわけではありませんし、むしろ肌が強いタイプなのかもしれませんね」と仰ってくださいました。その言葉を聞いて、ようやく肩の荷が下りたのを覚えています。発疹が少なかったおかげで、娘自身が肌の痒みを訴えたり、かき壊したりする心配がなかったのは、今思えば幸運なことでした。ネットの情報だけを見ていると、どうしても典型的な激しい症状ばかりが目に飛び込んできますが、実際には娘のように「ひっそりと終わる突発」もあるのだと実感しました。初めての育児では、何事も教科書通りに進まないと不安になりますが、子供の体はそれぞれに個性があるのだと、この控えめな発疹が教えてくれた気がします。今では娘も元気に育っていますが、あの時のまばらなピンク色の斑点は、娘が初めて自分の力でウイルスを乗り越えた、小さな勲章のように思えます。