爪が白く濁ったり、厚くなってボロボロと欠けたりする症状が現れた場合、その多くは爪水虫、すなわち爪白癬という感染症が原因です。この病気は白癬菌というカビの一種が爪の中に侵入して増殖するもので、放置して自然に治ることはまずありません。このトラブルに直面したとき、最も適切な受診先は間違いなく皮膚科です。皮膚科を受診すべき最大の理由は、その場で確実な診断を下せる顕微鏡検査が可能だからです。医師は爪の濁った部分を少しだけ削り取り、水酸化カリウムという液体で溶かして顕微鏡で観察します。そこで白癬菌の菌糸が確認されて初めて、爪水虫という診断が確定します。見た目だけで判断して市販薬を使い始めるのは非常に危険です。なぜなら、爪の濁りや変形は、乾癬や掌蹠膿疱症といった他の皮膚疾患でも起こりうるため、菌がいないのに水虫薬を塗っても効果がないばかりか、症状を悪化させる可能性さえあるからです。皮膚科での治療の主流は、かつては塗り薬だけでは爪の深部まで成分が届きにくいため内服薬が中心でしたが、最近では爪への浸透力が非常に高い新しいタイプの外用薬も登場しています。しかし、感染範囲が広い場合や複数の指に及んでいる場合は、やはり内服薬による全身的なアプローチが最も効率的です。ただし、爪水虫の内服薬は肝臓に負担をかける可能性があるため、治療開始前と治療中には定期的な血液検査が必要となります。こうした安全管理を徹底できるのも、皮膚科という専門医療機関を受診する大きなメリットです。爪の生え変わりには時間がかかるため、治療期間は半年から一年、足の爪の場合はさらに長くかかることもありますが、皮膚科医の指導の下で根気強く治療を続ければ、必ず新しく綺麗な爪が再生してきます。また、皮膚科では足の指の間の水虫も同時にチェックし、再感染を防ぐための生活習慣やバスマットの管理方法なども詳しく教えてくれます。爪の濁りを「年のせい」や「単なる乾燥」と片付けず、皮膚のスペシャリストである皮膚科を受診することは、清潔な足元を取り戻すだけでなく、家族への二次感染を防ぐという社会的にも重要な意味を持ちます。早期発見、早期治療こそが、爪水虫というしぶとい病気に打ち勝つための唯一の正攻法であり、そのためにはまず皮膚科の門を叩くことが不可欠なのです。