股間に耐えがたいかゆみが生じたとき、多くの人がまず抱くのは戸惑いと羞恥心です。場所が場所だけに、誰にも相談できず一人で悩み、市販の塗り薬で誤魔化そうとしてしまうケースが後を絶ちません。しかし、いわゆる「いんきんたむし」は医学的には「股部白癬」と呼ばれる立派な皮膚感染症であり、その治療を専門とするのは間違いなく皮膚科です。いんきんたむしの正体は、水虫と同じ白癬菌というカビの一種です。この菌は皮膚の角質層にあるケラチンというタンパク質を餌にして増殖するため、皮膚の専門家である皮膚科医による適切な診断と治療が不可欠となります。受診の際、泌尿器科と迷う方もいらっしゃいますが、泌尿器科は主に尿路や生殖器の内部疾患を扱う科であり、皮膚の表面に現れる症状であれば皮膚科を受診するのが最も効率的で確実な選択です。皮膚科を受診する最大のメリットは、顕微鏡検査によって原因菌を特定できる点にあります。皮膚の表面を軽くこすって採取し、その場で白癬菌の有無を確認する検査は数分で終わります。これにより、単なる湿疹や蒸れによる炎症(股擦れ)なのか、それともカビによる感染症なのかを正確に判別することができます。もし原因が白癬菌であるにもかかわらず、自己判断で市販のステロイド剤配合の湿疹薬を塗ってしまうと、ステロイドの免疫抑制作用によってカビが勢いづき、かえって症状が悪化したり範囲が広がったりするリスクがあります。皮膚科では、症状の進行具合に合わせて、最適な抗真菌薬の外用薬や、場合によっては内服薬を処方してくれます。また、いんきんたむしは非常に再発しやすい疾患ですが、医師の指導の下で「見た目が綺麗になっても、さらに数週間は塗り続ける」といった適切な治療期間を守ることで、根本的な完治を目指すことが可能になります。病院へ行くのは勇気がいることかもしれませんが、皮膚科の医師やスタッフにとっては日常的に接する疾患の一つに過ぎません。恥ずかしがって放置し、皮膚が黒ずんだり二次感染を起こしたりする前に、皮膚のスペシャリストである皮膚科の門を叩くことが、健やかな生活を取り戻すための最短ルートなのです。
いんきんたむしの悩みは皮膚科で解決しましょう