私は二十代の頃から、月に数回襲ってくる激しい頭痛に人生を振り回されてきました。当時は何科に行けばいいのかも分からず、「頭痛くらいで病院に行くなんて大げさだ」という周囲の目も気になり、ひたすらドラッグストアで購入した鎮痛薬を飲んでやり過ごしていました。しかし、三十代に入ると薬の効果が徐々に薄れ、一度始まると二日間は寝込んでしまうほど悪化していきました。吐き気を伴い、スマートフォンの明かりさえもナイフで刺されるような激痛に感じられる日々。そんな私を救ってくれたのは、友人の勧めで訪れた「脳神経内科」の専門医でした。それまで内科を受診したことはありましたが、そこでもらった薬とは全く違う、片頭痛専用の治療プログラムが私を待っていました。初めて診察室に入ったとき、先生は私の頭痛の歴史を丁寧に紐解いてくれました。驚いたのは、私が良かれと思って飲んでいた市販薬の使いすぎが、逆に脳の過敏性を高め、「薬物乱用頭痛」という別の病態を引き起こしていたという事実です。精密なMRI検査で脳自体に異常がないことを確認した上で、私には片頭痛の発作を未然に防ぐ予防薬と、発作が起きた瞬間に飲む特効薬が処方されました。治療を開始して一ヶ月、驚くほど劇的な変化が訪れました。あれほど執拗に私を追い詰めていた痛みの霧が、晴れ渡る空のように消えていったのです。頭痛の日数が減るにつれ、私は「いつ痛みが来るか分からない」という予期不安から解放され、仕事や趣味に全力で取り組めるようになりました。もし、あの時「ただの頭痛だから」と受診を諦めていたら、今でも私は暗い部屋で一人、痛みに耐えるだけの人生を送り続けていたでしょう。病院へ行くということは、病名を知ることだけでなく、自分の体のメカニズムを理解し、正しい対処法を武器として手に入れることなのだと痛感しました。片頭痛に悩むすべての人に伝えたいのは、医学はあなたが思っている以上に進化しているということです。自分に合った専門医、特に関節や骨ではなく脳の神経を専門とする医師を見つけることが、人生の質を劇的に変えるきっかけになります。恥ずかしがらず、そして諦めず、まずは一歩を踏み出して専門外来のドアを叩いてみてください。そこには、再び鮮やかな色彩を取り戻した毎日が、必ず待っているはずですから。
市販薬で耐え続けた私の片頭痛通院体験記