「先生、熱は下がったのですが、発疹が少ししか出ていません。これでも突発性発疹と言えるのでしょうか」という質問は、外来で非常に多く寄せられるものの一つです。私たち小児科医の答えは一貫して「はい、十分にあり得ます」というものです。医学的には、発疹の量で病気の正当性を判断することはありません。むしろ、私たちは発疹の「少なさ」よりも、その「質」と「タイミング」を診ています。突発性発疹の発疹は、医学用語で「紅斑性丘疹」と呼ばれ、三ミリから五ミリ程度の大きさで、融合せずに一つひとつが独立しているのが特徴です。これが全身に出るのが典型ですが、お腹に数個、太ももに数個出るだけというお子さんもいれば、逆に顔にだけうっすらと出るというお子さんもいます。中には、発疹というよりは「肌が全体的に少しピンク色に見える」という程度の変化で終わるケースもあります。私たち医師が診察の際に注目するのは、その発疹が「圧迫すると消えるか」という点です。指で押して白くなるのであれば、それは血管の拡張によるもので、突発性発疹の炎症反応として矛盾しません。また、発疹が少ないタイプのお子さんであっても、共通して見られるのは解熱後の「不機嫌さ」です。これは脳にウイルスがわずかに影響を与えるため、あるいは体力の消耗からくるものと考えられていますが、発疹の多寡にかかわらず、この不機嫌さが現れることで、私たちは「ああ、やはり突発性発疹の回復期なのだな」と確信を持ちます。ケアについてですが、発疹が少ないからといって特別な処置が必要なわけではありません。痒みを伴わないのがこの病気の特徴ですので、塗り薬なども基本的には不要です。お風呂についても、平熱に戻っていて本人が元気であれば普段通りに入れて構いませんが、体が温まると一時的に発疹が濃く見えることがあります。これは血行が良くなったための現象であり、悪化したわけではないので安心してください。発疹が少ない場合、親御さんは「まだ毒素が体の中に残っているのではないか」と心配されることがありますが、そのようなことはありません。発疹は毒素の排出ではなく、免疫反応の結果に過ぎません。発疹が少なく済んだということは、それだけお子さんの肌へのダメージが少なかったということであり、むしろ喜ばしいことと捉えて良いでしょう。この時期、最も必要なのは「時間」という薬です。発疹が消え、不機嫌さが収まるまでの数日間、たっぷりと甘えさせてあげることが、赤ちゃんにとって最高のケアになります。