突然の震えや冷や汗、そして言いようのない不安感に襲われた経験はありませんか？それは低血糖かもしれません。低血糖とは、血液中のブドウ糖濃度が正常範囲よりも低くなる状態を指し、私たちの体、特に脳の機能に大きな影響を及ぼします。普段健康な方でも、過度な空腹や激しい運動によって一時的に起こることもありますが、糖尿病治療中の方にとっては、より注意が必要な状態です。では、この「低血糖」、どんな時に「病院に行くべきか」と判断すれば良いのでしょうか。その迷いの瞬間を乗り越えるためのヒントを探っていきましょう。まず、低血糖の初期症状として認識しておきたいのは、空腹感、発汗、動悸、手足の震え、脱力感、吐き気などです。これらは自律神経が刺激されることで現れる身体的なサインであり、体が「糖分が足りない！」とSOSを発している状態です。これらの症状を感じたら、慌てずにすぐに糖分を補給してください。ブドウ糖タブレットはもちろん、清涼飲料水、飴、砂糖など、すぐに体内に吸収される糖質が良いでしょう。摂取後、落ち着いて座り、安静にすることで、多くの場合は10分から15分程度で症状は改善に向かいます。この段階で症状が治まるようであれば、すぐに病院に行く必要はないことが多いです。ただし、その後も体調の変化には注意を払い、可能であれば血糖値を測定してみると良いでしょう。しかし、糖分を補給しても症状が改善しない場合や、さらに悪化する場合には、躊躇せずに医療機関を受診すべきです。例えば、集中力の低下、強い頭痛、めまい、ふらつき、視覚の異常（二重に見えるなど）、意識が朦朧とする、けいれんが起きる、といった症状が現れた場合です。これらは、脳へのブドウ糖供給が著しく不足していることを示す中枢神経症状であり、非常に危険な状態です。特に、意識を失ってしまった場合は、周囲の人がすぐに救急車を呼ぶ必要があります。このような重篤な症状は、適切な医療的処置がなければ命に関わることもあるため、迅速な対応が求められます。また、低血糖が一度きりの出来事ではなく、頻繁に繰り返されるようであれば、その原因を探るために医療機関を受診することをお勧めします。糖尿病治療の過程でインスリン量や薬の調整が必要な場合もあれば、稀に膵臓の腫瘍（インスリノーマ）やホルモン異常、肝機能障害などが原因となっている可能性もあります。