健康診断の結果を受け取り、便潜血検査の項目に陽性を示す判定が出ていたとき、多くの人がまず抱くのは戸惑いや不安でしょう。便潜血検査とは、目には見えない微量の血液が便に混じっていないかを調べる検査であり、大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患などを早期に発見するための極めて有効なスクリーニング手法です。この結果を受けて受診すべき最も適切な診療科は、消化器内科、あるいは胃腸内科です。消化器内科は、食道から胃、小腸、大腸に至るまでの消化管全般を専門とする科であり、便潜血の原因を特定するための精密検査を行う設備と技術を最も整えています。陽性という結果は、あくまで「大腸のどこかで出血が起きている可能性がある」というサインであり、必ずしもがんを意味するわけではありませんが、その原因が痔によるものなのか、あるいは深刻な疾患によるものなのかを自己判断で区別することは不可能です。消化器内科を受診すると、医師はまず問診を行い、腹痛や便通の変化、家族歴などを確認した上で、多くの場合は大腸内視鏡検査、いわゆる大腸カメラを勧めます。大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入して大腸の内部を直接観察する検査で、病変を直接目で確認できるだけでなく、必要に応じてその場でポリープを切除したり、組織を採取して病理検査に回したりすることが可能です。中には「一度だけの陽性だから」「以前から痔があるから」と放置してしまう方もいますが、これは非常に危険な選択です。便潜血検査は二回のうち一回でも陽性であれば精密検査の対象となります。なぜなら、がんは常に安定して出血しているわけではなく、便が通り過ぎる際に偶然こすれて出血する場合があるからです。そのため、再検査として再び便を提出し、それが陰性だったからといって「異常なし」と判断してはいけません。再検査で陰性が出たとしても、一度目の陽性の原因が否定されたことにはならないのです。病院選びの際は、内視鏡検査の経験が豊富な専門医が在籍しているか、鎮静剤を使用して苦痛の少ない検査を行っているかなどを確認すると、受診へのハードルが下がります。また、肛門付近の出血が明らかな場合は肛門外科を受診するという選択肢もありますが、大腸の奥に潜む病変を見逃さないためには、やはり消化器全体を網羅的に診ることができる消化器内科を最初に訪れるのが最も合理的で安全なルートです。便潜血検査の陽性は、いわば体からの「点検のお願い」です。早期発見できれば大腸がんは完治の可能性が非常に高い病気ですから、この機会を逃さず、迅速に専門医の診察を受けることが、将来の健康を守るための決定的な一歩となります。
便潜血検査で陽性反応が出た際に受診すべき診療科と精密検査の重要性