溶連菌感染症は小児科で診断されることが多い疾患ですが、その皮膚症状の多様性から皮膚科を受診される患者さんも少なくありません。私たち皮膚科医の視点から見ると、溶連菌による発疹は非常に特徴的であり、診断の重要な手がかりとなります。一般的に、発熱や咽頭痛の出現から二十四時間から四十八時間以内に発疹が現れます。この発疹は、非常に小さな赤い丘疹が全身に密集するもので、触診すると「紙やすり」のようなザラつきを感じるのが最大の特徴です。また、顔面においては頬が赤く染まる一方で、口の周りだけが白く抜ける「口周蒼白」という現象が見られることもあります。さらに、舌の表面が赤く腫れ上がり、粒々が目立つ「イチゴ舌」も併発しやすく、これらが揃うと溶連菌感染の可能性が極めて高くなります。皮膚科での治療においては、内科的な抗菌薬治療と並行して、皮膚の炎症とかゆみをどのようにコントロールするかが焦点となります。溶連菌の発疹に伴うかゆみは、アレルギー反応の一種であるため、内服の抗ヒスタミン薬が効果的ですが、局所の症状に対しては塗り薬の選択が重要です。多くの場合は、皮膚を保護しつつ軽度のかゆみを抑える亜鉛華軟膏や、抗ヒスタミン成分を配合した親水軟膏を使用します。もし炎症が強く、かきむしりによる二次的な湿疹化が見られる場合には、短期的に弱めのステロイド外用薬を併用することもありますが、これはあくまで補助的なものであり、基本は抗菌薬による全身治療です。注意が必要なのは、溶連菌感染症と似た発疹を呈する他の疾患との鑑別です。例えば、川崎病や薬疹、麻疹、風疹など、迅速な判断が必要な病気は多岐にわたります。特に川崎病は、溶連菌と同様に発熱や発疹、イチゴ舌が見られるため、慎重な観察が必要です。溶連菌の場合は、病院での迅速検査で陽性が出れば確定しますが、陰性であっても皮膚症状が典型的であれば、培養検査を行うこともあります。患者さんにお伝えしたいのは、発疹が出ている間は皮膚のバリア機能が著しく低下しているということです。そのため、普段使っている化粧品やボディーソープが刺激になることがあります。症状が出ている期間は石鹸の使用を最小限にし、ぬるま湯で流す程度にとどめ、処方された塗り薬以外は極力控えるのが賢明です。また、発疹が消えた後に起こる皮剥けは、皮膚が新しく生まれ変わっている証拠ですので、決して無理に剥がさず、ワセリンなどの油性軟膏で保護しながら自然に脱落するのを待つようにしてください。
皮膚科医が教える溶連菌感染症による皮膚症状の見分け方とケア