突然の激痛に襲われ、全く腕を動かせなくなる疾患の代表例に、石灰沈着性腱板炎があります。ある四十代女性の事例では、夕方から何となく肩に違和感を覚え、深夜には「火を押し当てられているような」猛烈な痛みに変わり、救急車を呼ぼうかと迷うほどの状態になりました。翌朝、家族に支えられて整形外科病院を受診した際、彼女の顔は苦痛に歪み、腕を反対の手で抱えるようにして保持していました。レントゲン撮影の結果、肩の関節周囲にある腱板という組織の中に、真っ白な雲のような影がくっきりと映し出されました。これが、リン酸カルシウムという石灰が沈着したものです。なぜ石灰が溜まるのか、完全なメカニズムは解明されていませんが、特に四十代から五十代の女性に多く発症することが知られています。この疾患の恐ろしさは、石灰がミルク状に溶け出して炎症を起こす急性期の痛みが、あらゆる肩の病気の中でも群を抜いて激しいという点にあります。この女性に対して行われた治療は、まず局所麻酔薬とステロイド剤を混ぜた関節内注射でした。注射の針が刺さる瞬間こそ痛みがありましたが、数分後にはあれほど激しかった痛みが嘘のように和らぎ、彼女は数日ぶりに深い安堵の表情を見せました。医師はさらに、エコーで位置を確認しながら、注射針で石灰を細かく砕き、可能であれば吸引するという処置を行いました。その後、再発防止と石灰の吸収を促すための内服薬が処方され、数週間の経過観察で石灰の影は徐々に薄くなっていきました。この事例から学べる重要な教訓は、肩の痛みの中には「数時間単位の迅速な対応」が求められるものがあるということです。自宅で湿布を貼って耐えていても、石灰は自然に消えるまで時間がかかり、その間の激痛は精神をも摩耗させます。現代の医療では、適切な診断さえつけば、注射一本で劇的な改善が見込めるケースも少なくありません。肩の痛みを「ただの疲れ」と片付けず、急激な悪化が見られた際には、直ちに画像診断が可能な整形外科を受診することの重要性が、この事例によって改めて証明されています。
夜も眠れないほど肩が痛い石灰沈着性腱板炎の治療事例研究