社会人が手足口病に罹患した際、自身の体調不良と同じくらい懸念されるのが職場や取引先への影響です。手足口病は法律で定められた出席停止期間のある学校保健安全法の対象疾患ではありませんが、大人の社会においてはその感染力の強さから、独自の判断と配慮が求められます。まず、発症が判明した時点で速やかに上司やチームメンバーに報告を行うべきです。特に、高熱が出ている時期や水疱ができ始めている時期は、ウイルス排出量が極めて多いため、出勤は控えるのが社会通念上のマナーです。リモートワークが可能であれば切り替えを検討すべきですが、大人の手足口病は前述の通り思考能力や体力を著しく奪うため、無理をして業務を継続するよりも、二、三日は完全に休養し、急ぎの案件だけを他者に委ねる決断が必要です。職場での集団感染を防ぐためには、自身の発症前後の行動を振り返ることも大切です。もし発症直前に共有の備品を使ったり、会議室で密接に会話したりしていた場合は、念のため周囲に注意を促すことが望ましいでしょう。また、症状が落ち着いて出勤を再開するタイミングについても慎重さが求められます。解熱後一日が経過し、かつ手足の水疱が乾燥し始めていることが目安となります。ただし、見た目が完全に治った後も、ウイルスの排出は便から数週間続くことを忘れてはなりません。出勤再開後は、共有のトイレの使用後に蓋を閉めて流すことや、手洗いの後にアルコール消毒を徹底することを習慣化してください。また、お茶出しや資料の配布など、他人が触れるものを直接手渡す業務については、念のためしばらく控えるか、手袋を着用するなどの配慮があると周囲の安心感につながります。取引先との会食や対面での打ち合わせも、発疹が目立つ時期は避けるのが無難です。相手に「うつるのではないか」という不安を抱かせながらの商談は、信頼関係にも影響しかねません。「今、流行りの手足口病に罹ってしまい、大事を取ってお会いするのを控えています」と正直に伝えることは、自己管理能力の欠如と見なされるよりも、リスク管理ができる人物としての評価に繋がることが多いはずです。大人の手足口病は、個人の健康問題であると同時に、職場におけるリスク管理の問題であると捉え、誠実かつ迅速な対応を心がけましょう。
社会人が手足口病を発症した際の周囲への影響と対策